「おひとりさま」終活の予習

ライフスタイル・健康

人生100年時代といられていますが、40代・50代は人生の折り返し時点です。「おひとりさま」が一般的になりつつある日本の制度は、家族がいることを前提となっています。基本的に友達、パートナー、同居人であっても身元保証や役所関係の手続きができないケースがあります。弱った時に一人で様々な対処するのは大変です。事故や急病などの緊急事態には誰かの手助けが必要ですが、困った時に安心して利用できるサービス・頼り先を早くから見つけておく事が大事です。

いまどきの40・50代の貯金っていくら?

金融資産保有額別の割合は次のようになっています。40・50代ともに金融資産をもっていない人の割合が最も多くなっています。



※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(令和4年)

何歳まで働くべき?

※出典:高齢社会白書(令和4年版)

早期リタイアして自由に暮らしたい気持ちもありますが、年金に不安がある・・みんなは何歳まで働いているのでしょうか?
グラフでは60歳以上の就業率は上昇を続け、65歳~69歳世代でも半数の方が働いていることが分かります。何歳までに仕事をやめなければならならい期限を作るより、ご自身の体力・気力・財力に合わせて柔軟に働き方を変えていくほうがいいのではないでしょうか?

年金は何歳から受け取るべき?

老年基礎・厚生年金は原則として65歳から受け取ることができますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げてもらえることができます。ただし繰り上げ請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生かわりません。逆に65以降75歳までの間で繰り下げて、増額した年金を受け取る事もできます。
60歳に受給を繰り上げた場合は、24%の減額率となり、75歳までに受給を繰り下げた場合は84%の増額率となります。

受給開始年齢による年金額の割合
受給開始 割合
60歳(※80歳11か月までお得) 76%
65歳 100%
70歳(※81歳11か月からお得) 142%
75歳(※86歳11か月からお得) 184%

※65歳にくらべて受給額の比較

要介護や病気になった時は?

頼れる身内がいない「おひとりさま」は、健康や暮らしに不安を頂いた時の不安はつきません。準備できる事から整えておくことが大切です。

相談窓口を確認しておく

市区町村の社会福祉協議会や地域包括センターなどで、専門家に相談する事ができます。高齢者や障碍者の介護・福祉について相談する事ができ、見守りサービスや青年後見人制度のアドバイスを受けることができます。また下記の相談をする事が可能です。

  • 日常生活の支援や介護に関する相談
  • 特別養護老人ホームへの入所の申請手続き
  • 病院の医療相談
相談にのってくれる親戚や知人がいない場合は制度を利用する

何かあった時は、すぐに駆け付けてくれて相談に乗ってくれる親戚や知人がいれば安心ですが、いない場合でも青年後見人制度や身元保証会社を利用して、専門家にお願いする事ができます。

  • 法定後見制度
    判断能力が不十分になり、サポートが必要な人に代わって財産管理や契約などの手続きをお手伝いしてくれる制度です。ご本人・配偶者・四親等内の親族が家庭裁判所に申し立てを行うことで裁判所が成年後見人等を選任します。
  • 任意後見制度
    判断能力が不十分になる前に、本人が自分の意志で、任意後見人となる人に事務内容(本人の生活、医養介護、財務管理、契約・手続きなど)を公正証書による契約(任意後見契約)で定めて置き、判断能力が不十分になった際に事務をお願いする事ができます。
ライフプランの明示をしておく

老後、どのような生活を希望しているか明示しておくことはとても大事です。自分が最後を迎えるにあたり、介護サービスを受けられる施設に入りたいなどの生活スタイルから、万が一の場合に備えて医療行為(心臓マッサージなどの心肺蘇生、気管挿管、人工呼吸器の装着の希望)など、明示する事はとても大事です。医療行為はご自身の意思を尊重し治療方針を決めるため、必ず意思表示をしておきましょう。

老人ホームや高齢者施設など、月額相場はいくら?

施設 月額相場
特別養護老人ホーム 10~14.4万円
介護老人保健施設 8.8~15.1万円
介護医療院 8.6~15.5万円
介護付き有料老人ホーム 8.6~0万円
住宅型有料老人ホーム 8.8~19.1万円
サービス付き高齢者向け住宅 11~20万円
グループホーム 8.3~13.8万円

出典:老人ホーム検索サイト「みんなの介護」

病院で死亡したら遺体はどうなるの?

入院の際に求められる身元保証人ですが、親族(親戚)等に依頼していれば、病院は緊急先として認識します。あなたが危篤状態なり死亡すれば、親族(親戚)等が遺体の引取りを行う事になります。身元保証人がいない場合は、死亡時に備えて自分自身で、生活保護受給、成年後見制度、民間団体の死後事務サービスなど、何らかの方法を選択する必要があります。万が一、突然事故にあって死亡した場合は所持品等を手掛かりに関係連絡先を探すものを思われます。関係連絡先が分からず、もしくはその関係者が遺体の引取りを拒否した場合は、病院所在地の自治体が遺体の引取りを行う事になります。

おひとりさまが自宅で死亡したら?

誰にも気付いてもらえなくて、一人暮らしの自宅で亡くなった際は、駆け付けた警察官が、事件の有無を判断するため自宅内への立ち入りを禁止し、死体見分や現場検証を行います。孤独死で発見された場合は、自然死や病死であっても異常死として取り扱われるからです。その後、警察署に運ばれ検視を行い、死因を特定します。警察では身元確認を行い、遺品のみならず公的書類等の情報も利用して、より血縁が違い遺族に死亡の事実を告知致します。引き取りは検視が終わり、死体検案書が作成された後になります。親族がもし遺体の引取りを拒否した場合は、自治体が遺体の引取りを行う事になります。

死亡届は誰が提出する?火葬や納骨は?

死亡届は自治体に提出する事で埋(火)葬許可書が発行されます。死亡届は同居の親族のほか、その他の同居人、家屋や土地の所有者、もしくは家屋の管理人に届け出義務があります。そのため誰も出してくれないという心配はありません。
火葬や納骨についは、通常親族がいる場合には葬儀社に依頼して火葬や納骨をおこなってもらえると思いますが、遺体の引取り手がおらず、火葬や納骨(埋葬)を行てくれる人がいない場合には、自治体(死亡地の市町村)が行う事となります。お通夜や告別式は行われず火葬のみの直葬となり、納骨後に自治体の管理する霊園等に合祀されるものと思われます。費用に関しては、あなたが残した金銭等が充てられ、それでも足りなければ、自治体は相続人等に請求する事になります。

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