少子高齢化が急速に進行する中、私たちの負担も増加の一途を辿っています。この状況を少しでも和らげるために、経済的な支援が必要な時がありますが、これらは申請・請求しないともらえない「お金」です。知らないだけで損をしていませんか?日頃から関連情報を集め、準備を怠らないことが重要です。今回は申請するだけでもらえる「お金」をまとめました。どのような支援があるのかを把握しておくことに役立ててください!
出産・育児でもらえるお金
子供が生まれることになると、お金が必要になります。特に妊娠、出産時にはお金の面で大きな負担がかかりますが、補助制度を使うことによって軽減する事ができます。もちらん自分から申請する必要があるので取りこぼさないようにしましょう。
妊婦健診費14回分が補填される
妊娠・出産費用は治療が必要なトラブルを除いて、基本的に健康保険の対象外で10割負担となります。妊娠健康検査の回収は通常は14回が一般的ですが、すべて10割負担だと支払額が膨大になってしまいます。そのため各自治体とも健康費の補助を実施しています。妊娠が判明し、医者の許可がでたら、住んでいる市区町村に妊娠届を提出し、母子手帳をうけとります。その際に妊娠健康診査費助成の受診票を受け取れます。ただ妊娠判断時の1回目は助成対象外なので1万円程度の自己負担が発生します。
約10万円
妊産婦医療費助成制度を使う
妊娠中から産後かけて心身に不調が生じやすくなり、医療費の出
入院の場合:日額1200円
出典:新潟市「妊産婦医療費助成」
休業を取得すると支給される出産手当金
勤務先の健康保険に加入していればパートやアルバイトでも支給対象になる制度で、産前産後の休暇の生活費をカバーしてもらえます。給付期間は出産日以前42日(多胎の場合は98日)から主産日後56日まで支給されます。その間は1日につき平均2/3相当額が支給されます。出産が遅れた場合は、手当がプラスされ、早く出産した場合はその分の支給額が減ります。手続き方法は産休前に勤務先または加入している健康保険組合の窓口から「健康保険出産手当金支給申請書」を入手して必要事項を記載。医師・助産師の証明をもらった上で勤務先に提出します。なお支給されるのは申請してから1~2カ月後になります。
※月給30万円の場合、約1日あたり6667円
特定不妊治療費助成制度
特定不妊治療費助成制度は不妊治療の保険適用範囲が拡大され、高額な治療が3割負担で済むようになった最先端医療の一部を自治体が助成する制度です。対象条件や金額は各都道府県で異なりますが、15万円を上限に先進医療にかかった費用の7割まで助成しているところがほとんどです。手続きの流れについてはコチラ※東京都福祉局
※東京都の場合
乳幼児医療費助成制度
乳幼児(子供)が診察・治療を受けた時に健康保険が適用されるだけでなく、費用の一部または全額を自治体が援助してくれる制度です。助成内容は自治体によって異なりますが赤ちゃんが生まれたら、すぐに手続きをするようにしましょう。手続き方法は、出産後に勤務先か健康保険組合(国民健康保険の場合は役所の窓口)で加入申請を行います。健康保険証が届いたら住民票のある役所で医療費助成の申請を行うと数週間後に医療証が届きます。
※金額は自治体によって異なります。大阪府はコチラ
児童扶養手当
父母が離婚、どちらかが死亡、一定程度の障害状態があるなど、子供の養育が困難な世帯の養育者に支払われます。扶養する子供の数ごとに所得制限があります。扶養する子供の数、1人で養育者の前年の所得が87万円を超えていない場合は月額4万4140円を支給、87万円を超えても230万円未満までは一部が支給されます。2人以降は1人につき月額1万420円、3人目以降は月額最大6250円が加算されます。手続き方法は自治体の役所窓口において所得制限の条件を確認して、受給資格がある場合は戸籍謄本、健康保険の写し、預金通帳、マイナンバーカード、住民税課税証明書など必要なものを申請します。申請した翌月分から支払いが開始され、回数は1,3,5,7,9、11月年6回、全2か月分がまとめて口座に振り込まれます。
※2人目1万420円
※3人目6250円
育児休業給付金
育休取得期間中の生活をサーポートする目的で雇用保険から支給される手当制度です。支給額は育休開始から180日目までは月給の67%、181日目以降から育休終了日までは50%となります。手続きの流れは産休前に勤務先に育休の予定を伝え「育児休業給付受給資格確認票」「育児休業給付金支給申請書(初回分)」を受け取り勤務先の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に申請します。原則として育休に入る1か月までに、必要事項を記載した書類を勤務先に提出します。育児休業に入って、約2~5月後に振り込まれます。給付期間中の雇用保険料や社会保険料の支払いは免除されます。
住宅でもらえるお金
窓のリフォーム代を上限200万円補助
(2024年12月31日まで)
先進的窓リノベ2024事業を利用すれば、既に建っているいる住宅で1年以上経過しているもの対象で、内窓設置、外窓設置、さらに同時に断熱性をあげる玄関ドア交換で工事会社に支払った修理費用を一戸あたり50%、上限200万円まで補助されます。手続き方法は工事前に先進的窓リノベ2024事業事務局に工事会社を窓リノベ事業者として登録申請します。完了後に工事会社へ費用を支払います。工事業者から工事完了後、同事務局へ申請を行い、工事会社からリフォームの依頼者へ補助金を入金する流れとなります。
上限200万円補助
出典:環境省「先進的リノベ2024事業」
耐震診断費用助成
自分の住む家の耐震診断を促すために費用の一部を自治体が助成する制度です。補助される内容や上限額については、居住する自治体によって異なるため、事前に確認する事をおすすめします。大阪市の場合は診断費用の10/11、一戸あたり上限5万円の補助を受けることができます。手続き方法は事前に所有者および居住者が自治体の窓口に相談に行き、必要な書類を提出して申請します。工事完了後、工事の報告をして助成金を請求する流れとなります。
※大阪市の場合
出典:大阪市「民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度」
生垣緑化助成(緑化工事の助成)
生垣緑化助成制度は、地域における緑化推進、景観形成、良好な生活環境の保全などを目的に、自治体によって設けられている制度です。助成内容は自治体によって異なりますが、一般的には、生垣の設置費用の一部を補助金として交付するものです。申請手続きは自治体によって異なります。生垣を設置する前に、お住まいの地域の自治体の担当部署へ相談し、助成金の対象となるかどうか確認します。相談の際には、「生垣を設置する場所の住所」「土地の状況(広さ、日当たりなど)」「設置予定の生垣の種類、高さ、長さ」の情報を用意しておくとスムーズです。
※目黒区で壁面緑化助成と屋上緑化の両方を申請した場合
出典:環境省「生垣助成実施自治体一覧」
特定優良賃貸住宅家賃助成(引越し)
収入は低いけれど子育てに適した家への引越し、介護が必要な家族がいるので広い所への引越しといった家族を対象として住宅支援制度になります。優良な賃貸住宅に割安で入居できる家賃補助制度となっており、最初は家賃が安く、徐々に上がっていく傾斜型と呼ばれるタイプが多いです。手続きの流れは、特定優良賃貸住宅を管理する自治体や住宅供給公社などの窓口に申請書類を提出して審査を受けます。審査に通過したら賃貸契約を締結して入居する事ができます。
出典:大阪府住宅供給公社
住宅特定改修特別税額控除(リフォーム費用控除)
(令和)7年12月まで
確定申告する事で、リフォーム費用が所得控除の対象となる制度です。対象となるリフォームは、国土交通省が定める省エネ、耐震改修、バリアフリー、耐久性向上などの工事をした場合です。基本、工事費用の10%、最高250万円が限度額ですが、耐震+省エネ+耐久性など組み合わせると500万円までになる事もあります。手続きのながれはリフォーム代を計上して管轄税務署に確定申告書類を提出すると、所得税からの控除として工事費の10%分を還付されます。
耐震改修+省エネ改修+耐久性向上回収:50万円
出典:国税庁「省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」
仕事関連でもらえるお金
教育訓練給付・専門実践教育訓練給付金(スキルアップ)
働く人の主体的なスキルアップをサポートする制度です。厚生労働大臣が認めた約16000口座の受講費用の一部が支給されます。手続き方法は、一般教育訓練給付の場合、認定された講座の受講終了後、一か月以内に居住地域のハローワークで支給申請します。特定一般教育訓練給付と専門実践教育訓練給付は、講座を受講前にハローワークや学び直し支援センターでキャリアコンサルティングを受ける必要があります。原則、受講開始2週間前までに受講資格確認を行い、指定の講座を受講します。受講終了後は居住地域のハローワークに支給申請を行う。
対象 | いくら | 資格 | |
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専門実践教育訓練給付 |
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特定一般教育訓練給付 |
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厚生労働大臣が認定した講座の40%(上限20万円)を支給 |
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一般教育訓練給付 |
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厚生労働大臣が認定した講座の20%(上限10万円)を支給 |
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雇用保険の基本手当と技能取得手当(失業をサポート)
雇用環境及び失業した人をサポートする制度として1974年に発足しました。失業した場合は、求職活動する事を条件に、雇用保険の一部から決まった金額を基本手当として支給されます。また技能習得手当は求職中の方が、転職を成功させるために新たな技能を取得する必要があると認められた時に受給できます。手続き方法は、雇用保険の基本手当受給については、管轄のハローワークでの休職の申し込み、技能習得手当については、雇用保険受給資格認定が下りた後、ハローワークの職業相談で相談する必要があります。
基本手当 | 技能習得手当 |
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退職前に雇用保険に通算12ヵ月以上加入している方で、なおかつ働きたい気持ちを持っている人が対象 | 雇用保険の基本手当の受給資格者で公共職業訓練を受講する人が対象 |
賃金日額 x 約50%〜80% x 既定の給付日数 | 受講手当上限2万円 通所手当最高月額4万2500円 寄宿手当月額1万700円を支給 |
会社都合でやめた場合、受給資格決定日から4週間後に初回の基本手当受給認定がされ、支給が開始される。 自己都合でやめた場合、受給資格決定日から4週間後に初回認定が行われ、その後2カ月間の給付制限を経て第2回の受給認定日から支給される。 いずれの場合も受給資格決定日から初回認定までの間に受給説明会を受講しなければならない |
ハローワークで職業相談をする中で、ハローワークの所長が公共職業訓練をする必要があると認めた場合、雇用保険の基本手数料給付の期限が終わったとしても、訓練がおわるまで基本手当の他、公共職業訓練に関連する訓練費用や通所費用などをサポート |
高年齢雇用継続基本給付金(定年後の減少分の助成)
定年後は給料が下がるのがほとんどですが、高年齢雇用継続基本給付金は減少分を助成する制度です。賃金の低下率が61%以下の場合は、実際に支払われた賃金の15%分をプラスで支給してもらえます。働き続ける限り、65歳になるまで5年間給付金を受け取れます。高年齢雇用継続基本給付金は非課税で給料とは別に受け取る事が可能です。手続きの流れは事業主に受給資格確認をしたい旨を伝え、事業主が管轄のハローワークに受給資格の確認をします。支給申請も事業主からハローワークに申請する形となります。支給が決定したら約1週間で働いている人本人の講座に振り込まれます。
求職者支援制度(転職・スキルアップ)
雇用保険に加入していないパートやフリーランスの方で「転職したい」「スキルアップしたい」という人が生活資金として月額10万円の給付金・無料の職業訓練を受講できる制度。手続き方法は居住地のハローワークで求職の申し込みをし、制度の説明の後、職業相談をしながら受講したい職業訓練コースを選定します。その後、訓練期間の実施する面接や筆記試験に合格したら就職支援計画の交付を受けて訓練が開始されます。制度を受けることが認定されてから1週間程度で給付金の10万円が振り込まれます。
休業補償(仕事中の病気やケガ)
会社員が業務中に病気やケガをした場合、労災保険が収入を補償し休業補償給付が支給されます。支給額は労災全3カ月の平均給与の日額である「給付基礎日額」の60%。さらに「給付基礎日額」の20%にあたる「休業特別支援金」も受け取れ、合計で80%が受け取れます。手続き方法は労働災害が起きたら会社に報告し、「療養給付たる療養の費用請求書」に会社からの請求をもらい手続きする。労働基準監督署による労災認定を受け取ると、給付されます。
傷病補償年金(労災から1年半たっても治らない場合)
会社員が業務中や通勤中に病気やケガをした場合、休業補償給付が支給されますが、療養しても快方に向かわず、給付を続けて1年半が経過し、労働保険の定める「傷病等級」第1~3級に該当する場合は「傷病補償年金」の支給に切り替わります。支給要件を満たしていない場合は、休業補償給付が継続します。傷病補償年金は傷病等級によって支給額は違います。第1級の場合、給付基礎日額の313日分が支給されます。さらに一時金として毎年100万~114万円が支給されます。