親の介護を考え始めたら【まとめ】

ライフスタイル・健康

2025年には、団塊の世代全員が後期高齢者になるため、要支援・要介護の割合が急増し、介護は誰にとっても身近な問題となります。介護に関する事柄をできるだけわかりやすくまとめました。突然、大切な家族の介護が必要になり、何から手を付ければ良いかわからなくなることがないよう、この情報が少しでも役立てば幸いです。
出典:「令和2年国勢調査 | 総務省」「今後の高齢化の進展 ~2025年の超高齢社会像 | 厚生労働省」


出典:厚生労働省「介護給付費実態調査月報」

75歳以上になると要支援・要介護の割合が一気に上昇するので準備が必要

突然の事態が起こる前に

親が介護を必要とする原因

高齢者の介護が必要になる原因は男女で多少の差はありますが、「認知症」「脳卒中」「骨折・転送」「高齢による衰弱」となっています。他には関節疾患と続きます。高齢の親は転倒したり脳卒中を発生したりと突然の事態に起こるケースが多くあります。脳卒中の場合は自覚症状も出にくいため、急な胸痛が続く、体の一部が動かない話しにくい痙攣がとまらない、冷や汗や強い吐き気があるなどの症状の場合は、迷わず119番をして救急車を呼ぶ事をおすすめします。

出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」2022年

救急車を呼ぶか迷ったら?

状態によって救急車をよんでいいか悩む事があると思います。そんな時は「かかりつけ医」に連絡して指示を仰いてみてはいかがでしょうか?かかりつけ医の指示で救急車を呼ぶ事になっても、かかりつけ医から受け入れ先につないでもらうと搬送もスムーズになります。迷ったら24時間体制で医師や看護婦などが、診療可能な情報、応急手当の助言、救急性の高い救急車の要請支援を行う「救急安心センター#7119」を活用しましょう。

出典:厚生労働省「上手な医療のかかり方

離れて暮らす親のために準備しておくこと

親の緊急時にすぐに駆け付けられない場合、大きな不安があると思います。そんな時は緊急時に近所に頼れる人を探しておくことをおすすめします。緊急の連絡をお願いできないか帰郷の際にあいさつも兼ねて相談してみましょう。もし近所に頼れる人が見つからない場合、地域住民の見守り支援をしている民生委員、町内会・自治会、地域包括支援センター、市区町村の高齢者見守りネットワークなどに離れて暮らす親の存在を知ってもらうと安心です

介護離職はなぜおきてしまうのか

総務省が公表した「就業構造基本調査」によると年間約10万人が全国で介護・看護を理由に離職しています。介護と仕事の両立がむずかしく離職せざる得ない状態になると、キャリアや収入源が経たれて経済的に困窮するリスクがあります。総務省の統計によれば介護をしている9割は、「介護休業法」等の国の制度を利用していません。制度を使わず綱渡り的な介護すると切羽詰まった状態に陥って介護離職につながりやすくなります。介護に直面した時は、1人で抱え込まない事が重要です。介護保険制度の概略を知って、仕事の両立に理解・経験のあるケアマネを選び、介護態勢を整えプロに任せれることは任せましょう。

要介護認定の申請のタイミングはいつ?

突然起こる脳卒中や骨折・転倒で救急搬送され、入院中に医師から「退院後に介護が必要」と言われた場合、退院後に自宅や施設でリハビリサービスを利用する際にも必要となるため、迷わず要介護認定の申請をお勧めします。しかし、「認知症」などの場合は症状が徐々に進行するため、申請のタイミングが難しいことがあります。介護認定の申請はあくまでも本人の意思を重視しますが、本人が拒否した場合でも手助けが必要な状態が少しでもあると家族が感じたら、地域包括支援センターに相談してみてください。

介護をはじめるために必要な要介護認定

要介護認定の申請と流れ

高齢になった親が日常生活に不便を感じるようになり、いざ介護保険サービスを利用しようと思っても、要介護・要支援認定がなければ、すぐにサービスを受けることができるわけではありません。要介護・要支援認定を受けるには市町村または地域包括センターの窓口で認定申請が必要となります。介護の認定度は、病気や障害の重さでなく日常生活における介護や介助の手間を客観的に判断して決められます。

要介護認定

※要介護認定の申請と流れは、基本的には全国で共通していますが、細かい部分では自治体によって異なる場合があります。

出典:羽村市公式サイト「要介護認定の申請方法と流れ」

認定調査について

申請後、本人の正確な状態を探るために、認定調査員(ケアマネージャーや市区町村の職員など)が申請者の自宅や居住先を訪問して審査します。入院中の場合は病院に訪問し心身の状態や生活環境などを調査します。認定調査に要する時間は約1時間程度で基本的に質問には本人が答える事になります。身体機能のチェックには実際に本人に動いてもらって確認する事もあります。

認定調査の主な内容

調査項目は全部で74項目となっており「できる・できない」「ある・ときどきある・ない」などの回答を選ぶ形式で行います。

主な項目 調査の具体的な内容
どれくらい動けるか 麻痺や拘縮はあるか、寝返りや起き上がり、座れるか、立ってあるけるか、視力、聴力・・など
日常の困り具合 食事は摂れているか、排泄はできるか、着替えはできるか、外出はできるか・・など
認知症の有無 意思を伝えられるか、自分の名前や生年月日がわかるか、徘徊があるか・・など
BPSDの程度 被害妄想があるか、感情が安定しているか、同じ話をなんどもするか、収集癖などがあるか・・など
社会生活について 薬の管理ができているか、お金の管理ができているか、自分の意思で決定できるか、買い物ができるか・・など
過去14日間に受けた医療行為 点滴、中心静脈栄養、透析、酸素療法、人工呼吸器、気管切開、栄養管理・・など
日常生活の自立度 身体的にどのくらい自立しているか、認知期はどのくらい自立しているか

※細かい部分では自治体によって異なる場合があります。
出典:厚生労働省「介護認定審査会委員テキスト

主治医意見書について

要介護認定の申請には、認定調査と並行して主治医が作成する主治医意見書が必要です。この意見書は市町村からの依頼で作成され、本人や家族には内容がわかりません。そのため、申請の前後には必ず主治医を受診し、要介護認定の申請をすることを伝えてください。もし、かかりつけ医がいない場合は、自分に合った医院やクリニックを探して診察を受けておくと良いでしょう。健康状態を把握してもらうことで、意見書作成がスムーズになります。

申請時に主治医がいない場合や、どの医師にすればよいかわからない場合は、市区町村が紹介してくれる病院を受診することができます。

認定結果が出るまで

要介護度の審査は一次判定と二次判定に分かれます。一次審査では厚生労働省が作成した一次判定ソフトを使用し、アルゴリズムに沿って予想時間を算出し、その結果に応じて「非該当」や「要介護1」から「要介護5」までの8段階に振り分けられます。次に特記事項と主治医の意見書を確認して審議する介護認定審査会が開かれ二次判定が行われます。申請から認定結果の通知までおおよそ1カ月を要します。

どれほど厳密な介護認定審査をおこなっても、必ずしも正しい審査結果が出るとは限りません。審査結果に納得できない時や、高齢者の実態とかけ離れていると感じた時には「不服申し立てができるので、市町村の担当職員や担当ケアマネージャー、最寄りの地域包括支援センターに相談する事をおすすめ致します。

出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」「一時判定ソフトの役割と仕組み 動画解説」

要支援と要介護について

要支援と要介護のどちらも介護が必要な状態であることに変わりはありませんが、介護の程度や受けられるサービスに違いがあります。要支援と要介護の違いを理解しておくことは非常に重要です。要支援と要介護

要支援 要介護
トイレや食事にそれほど不自由を感じなくても、立ち上がるときに誰かの手伝いが欲しい、歩くのに付き添いがあった方が安心といった基本的には自立して生活ができるが、一部の活動で軽度の支援が必要な状態を指します。 体を体を動かすことが困難で食事やトイレなどにも介助が必要で、また認知症などによって思考力の低下や問題行動を伴うような状態。日常生活全般にわたり継続的な介護が必要な状態を指します。

出典:LIFULL介護「要支援・要介護の違い

認定結果と受けられるサービス

認定結果 認定内容 受けられるサービス
非該当 生活が自立している状態で介護保険サービスは利用できません。 市町村が行う介護予防事業(地域支援事業)
要支援1 基本的には自立して生活できますが、いくつかの動作で支援が必要です。 介護保険の介護予防サービス(予防給付)、介護予防・日常生活支援総合事業
要支援2 要支援1よりもう少し多くの介助を必要とする状態です。
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定で一部介助を必要とする状態です。 介護保険の介護サービス(介護給付)
要介護2 食事や排泄、入浴などの一部で支援が必要とする状態です。
要介護3 日常生活で立ち上がることができないほど、日常生活の多くで介助を必要とする状態です。
要介護4 日常生活全般で介助を必要とする状態で、理解力にも問題がある状態です。
要介護5 寝たきりなど、日常生活に全面的な介助が必要であったり、理解力が著しく低下した状態です。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「公的介護保険で受けられるサービスの内容は?

介護保険サービスの使い方

「要介護認定」が出たからといって、近くのサービス事業所ですぐにヘルパーの訪問依頼をする事ができるわけではありません。介護保険サービスを依頼するにはケアプラン(介護サービス計画)が必要となります。自分で作成する事もできますが、多くの場合はケアマネージャーを決めて依頼します。ケアマネージャーは総合的な窓口である「地域包括支援センター」に相談するか、市区町村でもらえる居宅介護支援事業所のリストを参考にして事業所へ相談にすると紹介してもらえます。

ケアマネージャーってどんな人?

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護を必要とする方が介護保険サービスを受けられるように、高齢者が抱える問題点を明らかにし、自立した日常生活を送れるように「アセスメント(課題分析)」しケアプラン(サービス計画書)の作成やサービス事業者との調整を行います。優れたケアマネジャーを選ぶためには、豊富な経験や知識、そして保有している資格など、いくつかの重要なポイントを確認することが大切です。例えば、身体的な介護が必要な場合は、介護福祉士の資格を持つケアマネジャーを選ぶといいでしょう。

ケアマネジャーを選ぶ際のチェックリスト

ケアマネジャー選ぶ際の留意点
本人と事務所との距離が近い
経験の豊富さ
ご利用者の望むサービスに強みがある
保有資格
地元で評判がよい
対応が早い
相談に親身に乗ってくれる
電話がつながりやすい
現在の担当件数
守秘義務を遵守してくれる
守秘義務を遵守してくれる

ケアプラン作成の流れ

1.状態の調査と分析(アセスメント)

ケアマネジャーは利用者との面談を通じて、利用者の状態を把握するためのアセスメントを行います。これにより、利用者とその家族が望む生活や、そのために必要なサポート、そして現状の障害を明確にします。ケアマネジャーがアセスメントを行う際には、個人的な判断に偏らないよう、通常、厚生労働省が示す「課題分析標準項目」というチェックリストを使用しています。

2.具体的なサービス計画を作成

ケアマネジャーは、アセスメント結果を基にして必要な介護サービスを提供する各事業者に問い合わせを行います。そこで、サービスの種類、内容、利用頻度、時間、料金などを整理し、ケアプランの原案を作成します。

3.状介護サービス事業者と契約

ケアプランの原案ができた後、利用者とその家族に説明し、希望に合っているかを確認します。問題がなければ、「サービス担当者会議」を開いて最終的なケアプランを確定します。利用者がケアプランに同意すると、各サービス事業者と契約を結び、サービスが開始されます。
出典:介護の未来ラボ「ケアプラン(介護サービス計画書)とは?

居宅サービス

自宅にいながら利用する介護サービスです。「訪問するサービス」「通うサービス」「宿泊するサービス」があります。居宅サービス

訪問するサービス

サービスの種類 サービスの内容
訪問介護 ホームヘルパーが自宅を訪問し、入浴や排泄、食事の介助、掃除、洗濯、買い物など、日常生活のサポートを行います。
訪問入浴介護 看護・介護職員が自宅を訪問し、持ち込みの浴槽を用いて入浴介助を行います(自宅の浴槽を使用する場合は訪問介護となります)。
訪問リハビリテーション 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、医師の指示に基づき、身体機能の維持・回復や日常生活の自立を目指したリハビリを行います。
訪問看護 看護職員が自宅を訪問し、主治医の指示に従い、医療ケアや診療の補助を行います。
居宅療養管理指導 遺科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士などが自宅を訪問し、療養に関する管理や指導を行います。

通うサービス

サービスの種類 サービスの内容
デイサービス(通所介護) デイサービスセンターなどの施設に通い、食事、排泄、入浴などの介助や機能訓練サービスを受けることができます。送迎サービスも提供されます。
デイケア(通所リハビリテーション) 介護老人保健施設や病院に通い、医師の指示に従ってリハビリテーションを受ける。

宿泊サービス

サービスの種類 サービスの内容
ショートステイ(短期入所生活介護) 特別養護老人ホームなどの施設に短期間入所し、入浴、排泄、食事などの介助や機能訓練を受ける。
医療型ショートステイ(短期入所医療介護) 医療機関や介護老人保健施設などに短期間入所し、看護や医学的管理のもとで介護、機能訓練、必要な医療などを受ける。

地域密着型サービス

地域密着型サービスとは、高齢者が「認知症」や「要介護状態」になっても、慣れ親しんだ地域でできる限り長く生活を続けられるよう、地域の実情に合わせて提供される介護サービスです。一般的な介護保険サービスが都道府県による指定管理のもとで運営されるのに対し、地域密着型サービスは市町村が指定した事業者が提供し、その地域に住む住民を対象としています。

訪問のサービス

サービスの種類 サービスの内容
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ホームヘルパーと介護師が連携し、日中や夜間に定期的な訪問を行い、緊急時にも対応する。
夜間対応型訪問介護 ホームヘルパーが夜間に定期的に訪問し、緊急時には随時対応する。

通いのサービス

サービスの種類 サービスの内容
地域密着型デイサービス(地域密着型通所介護) 送迎サービス付きで、定員18名以下のデイサービスです。日帰りで、家事や入浴などの介助や生活機能向上のための訓練を受けることができます。
認知症対応型デイサービス 認知症の方を対象とした、定員12名以下の小規模デイサービス
療養通介護 難病患者や重度の要介護者、末期がん患者を対象とし、看護師による観察を充実させた地域密着型のデイサービス

複合的なサービス

サービスの種類 サービスの内容
小規模多機能型居宅介護 小規模な施設で、デイサービス、訪問介護、ショートステイを組み合わせて提供する会員制サービス
介護小規模多機能型居宅介護 訪問介護を加えた小規模多機能型居宅介護サービス

グループホーム

サービスの種類 サービスの内容
認知症対応型共同生活介護 認知症の方が自宅を離れて施設に移り、介護スタッフの支援を受けながら、5〜9人の少人数で共同生活を営む

気になる介護にかかるお金

生命保険文化センターの調査によると、過去3年間に介護経験のある人々に対し、介護にかかった費用について尋ねたところ、介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的な費用の合計が平均74万円、月々の費用が平均8.3万円となりました。また、介護を行った場所別に月額の介護費用を見てみると、在宅介護では平均4.8万円、施設介護では平均12.2万円となっています。

介護を行った場所別介護費用(月額)

要介護度別介護費用(月額)

※出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査2021年度」

在宅介護する上で毎月いくらかかるか総合的に把握する事が大切です。かかる費用には介護保険サービス費、介護保険外のサービス費、介護用品費、医療費、通院時の交通費などがあります。介護度が高くなれば、介護サービス費の自己負担も高くなります。また紙おむつや介護食、排泄用品など毎日使用する介護用品の比重が次第に大きくなっていきます。介護にかかる費用は変動しやすいので金銭管理はとても大事となります。

医療費と介護費

74歳までは、会社の被用者保険または国民健康保険に加入しますが、70歳から74歳の間の自己負担割合は、現役並み所得者を除き、3割から2割に変わります。70歳になると、自己負担割合が記載された「高齢受給者証」が保険証とは別に交付されるため、医療機関を受診する際には保険証と一緒に提示します。75歳になると、被保険者全員が各医療保険から脱退し、個人ごとに後期高齢者医療制度に加入します。自己負担割合は保険証に記載されています。

医療費と介護費

医療費の窓口負担

一般所得者・住民税非課税制度 一定以上所得のある人 現役並みの所得者
75歳以上 1割 2割 3割
70~74歳 2割
70歳未満 3割

自己負担額の上限は、現役並みの所得者を除いて減額され、外来のみの限度額も設定されます。上限を超えた分は高額医療費として後から払い戻しされますが、窓口で限度額のみを支払うには「高齢受給者証」または「限度額適用認定証」、住民税非課税世帯の場合は「限度額適用・標準負担額減額認定証」の提示が必要です。
出典:厚生労働省「医療費の自己負担割合について

70歳以上の高額医療費(自己負担限度額)

所得区分 外来の限度額(個人単位・月額) 外来+入院限度額(世帯単位・月額)
現役並み Ⅲ年収1160万円以上 252,600円+(医療費-842,000円)x1% 同左
Ⅱ年収770~1160万円 167,400円+(医療費-558,000円)x1% 同左
Ⅰ年収370~770万円 80,100円+(医療費-267,000円)x1% 同左
一般 年収156~370万円 18,000円 57,600円
住民税
非課税世帯
Ⅱ世帯全員が非課税 8,000円 24,600円
Ⅰ世帯年収80万円以下 8,000円 15,000円

介護保険にも自己負担の限度額が設定されています。支払った介護サービス費の自己負担額が限度を超えると、超過分は高額介護(介護予防)サービス費として払い戻されます。ただし、対象となるのは支給限度額内で利用したサービス費の自己負担額のみで、支給限度額を超えた部分の10割負担や、福祉用具の購入費、住宅改修費は対象外です。
また、医療保険と介護保険に支払った自己負担額を1年間合計した金額が「合算算定基準額」を超える場合、超過分は高額医療・高額介護合算制度により払い戻されます。
出典:厚生労働省「医療費の自己負担割合について

高額介護サービス費(自己負担限度額)

設定区分 対象者 負担上限額(月額)
第4段階 年収1160万円以上 140,100円(世帯)
年収770~1160万円 93,000円(世帯)
住民税課税世帯~年収770円未満 44,400円(世帯)
第3段階 住民税課税世帯で1.2段階に該当しない 24,600円(世帯)
第2段階 住民税課税世帯で公的年金収入+その他の合計所得金額の合計が80万円以下 15,000円(個人)
24,600円(世帯)
第1段階 生活保護受給者 15,000円(個人・世帯)

出典:厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます

介護施設に入居する場合の費用

介護施設に入居すると、在宅介護と比較して経済的負担が増大します。これは、介護保険の施設介護サービスの自己負担分に加え、全額自己負担となる家賃や管理費、食費、その他のサービス費用が発生するためです。
前述のように、在宅介護の平均月額費用が4.8万円であるのに対し、施設介護の平均月額費用は12.2万円となっています。しかし、施設介護には家族の介護負担が軽減されるといったメリットもあります。介護施設に入居する場合は、施設別でどのくらいの費用がかかるのまとめてみました。
出典:中央法規「介護保険のしくみと使い方」
介護施設に入居する場合の費用

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

自宅での生活が難しくなった場合に利用する入所施設です。この施設には介護福祉士や看護師などの介護・看護の専門職が配置されており、24時間365日体制で、食事、入浴、排泄など日常生活に必要な介護を受けることができます。

入所条件 利用は先着順ではなく、必要度を考慮してきまります

判定議会で考慮される条件
・65歳以上である
・要介護度が3以上
・単身、家族が病弱であるなど、自宅で生活が困難である

サービス費 介護サービス費
要介護度別の基本報酬に加えて施設のケア体制により加算、居室のタイプ、地域によって金額が変わる。
居住費
居室のタイプで異なり、多床室、従来型個室、ユニット型個室的多床室、ユニット型個室の順に高くなる
食費
一律1日1,445円
月額費用(目安) 5~15万円

介護老人保健施設

身体介護や生活援助サービスに加え、医師や看護師による医療ケア、理学療法士などのセラピストによるリハビリを受けることができます。在宅復帰が決まると、「退所時指導」として施設の職員が利用者の自宅を訪問し、医療関係者がいない環境でも安心して生活できるよう指導や調整を行います。利用者の自宅で得た情報は、リハビリおよびケア計画に反映させることを目的としています。

入所条件 施設が行う判定会議を経て入所が決まります

判定議会で考慮される条件
・65歳以上である
・要介護度が1以上
・病状が安定して入院の必要がないこと

費用 ・入所一時金は不用ですが、介護サービス費、居住費、食費、日常生活費が毎月かかります。居住費、食費、日常生活費は介護老人福祉施設費と同様です。
・医療費(薬代含む)は、利用料に含まれているので、特別な診察や治療がない限り医療費が別途発生する事はありません。
月額費用(目安) 9~15万円

介護医療院

介護療養型医療施設の廃止をうけて2018年度に新設された介護保険施設です。すまい・医療・介護・看取りを包括した新しいモデルです。利用者像は2種類に分けられています。

Ⅰ型 長期療養が必要な重篤な身体疾患を持つ方や、身体合併症のある認知症高齢者を対象としています。介護療養型施設に相当するサービスを提供しています。
Ⅱ型 Ⅰ型と比較して状態が安定している高齢者が対象です。介護老人保健施設を上回るサービスが提供されるよう、人員、設備、運営基準などが設定されています。

初期費用は不要ですが毎月以下の利用料が必要です。

・居住費:家賃。居室のタイプによって料金は異なります。
・食費:要介護に関係なく一律です。
・日常生活費:日用品購入、理美容代、洗濯代など。
・介護サービス費:ケアをうけるためにかかる費用
居室のタイプ 月額費用(目安)
多床室(4人部屋) 8~14万円
ユニット型個室 11~17万円

要介護度、居室のタイプ、地域(単位の単価)などによって変わります。

訪問介護の費用

訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅に来て、ご本人の暮らしに必要な入浴や排泄といった身体介護から、洗濯、掃除といた生活援助・環境を整えたりします。

訪問介護の費用

内容 時間 1回あたりの金額
身体介護 20分未満 163円
20分以上30分未満 244円
30分以上1時間未満 387円
1時間以上1時間30分未満 567円
以降30分ごとに 567円+82円ずつ
生活援助 20分以上45分未満 179円
45分以上 220円
通院等乗降介助 97円
身体介護+生活援助 25分ごとに(70分が限度) 身体介護料金+65円ずつ

出典:厚生労働省 「介 護 報 酬 の 算 定 構 造

要支援の場合

市町村総合事業で介護予防訪問介護を利用する事ができます。自治体によって内容・料金体系も異なりますのでご確認してください。

福祉用具貸与の費用

介護保険によって福祉用具のレンタル料金が割引される制度です。要介護認定または要支援認定を受けた人が対象で、利用者の自己負担額は1割になります。サービスを利用するには、要介護者は居宅介護支援事業所に、要支援者は地域包括支援センターに相談します。これらの事業所や支援センターがケアプランを作成し、福祉用具貸与事業者にサービス提供を依頼することで、利用者は福祉用具を借りることができます。レンタルできる品目は決まっています。

福祉用具貸与

福祉用具は多岐に渡りますので、レンタルの利用料は、サイズや性能によって異なります。

出典:兵庫県高齢者生活協同組合「福祉用具貸与・販売事業

介護用品購入費用の支給

安全で快適な生活を送るために必要な福祉用具のうち、レンタルに適さないものに関しては、その購入費用の一部を介護保険から支給することが可能です。対象となる購入品目は下記の6種類です。

介護用品購入費用の支給

腰掛便座 自動排泄処理装置の交換可能部品 排泄予測支援機器
入浴補助用具

簡易浴槽

移動用リフトのつり具の部品

※利用者がいったん全額を支払った後、費用の9割(一定以上所得者の場合は8割又は7割)が介護保険から払い戻されます。(償還払い)
※同一年度で購入できるのは10万円までです。(利用者負担が1割の方の場合、9万円が介護保険から給付されます。)
利用者負担

出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 特定福祉用具販売福祉用具貸与・販売事業

住宅改修費の支給

在宅の要介護、要支援認定を受けている人が居住する住宅に手すりの取り付けなど下記の小規模な住宅改修を行う場合、その費用の一部を支給してもらうことができます。住宅改修の種類は、次のとおりです。

住宅改修費の支給

  1. 手すりの取り付け
  2. 段差の解消
  3. 滑り防止や移動を円滑にするため等の床または通路面の材料の変更
  4. 引き戸等への扉の取替え
  5. 洋式便器等への便器の取替え
  6. 上記1~5の各工事に付帯して必要と認められる工事

支給内容

ご利用者1人につき20万円までの購入代金に対して適用されます。1回の改修で20万円まで使い切らずに、数回に分けて使うこともできます。「介護の必要の程度」の段階が3段階以上あがった場合、引っ越しをした場合は再度利用することができます。

出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修

住宅改修費用の目安

場所 改修例 金額
トイレ 様式の便座の変更 1.5~2.5万円
和式→様式便座に変更 5~6万円
手すりの設置+スペース拡張 7~8万円
浴室 折り畳み扉に変更+開口幅拡張 1~3万円
段差解消 3~4万円
浴槽を浅くする 5~6万円
玄関 簡易な車いす用スロープの設置 4~6万円

認知症ケアが必要になったら

年をとれば誰でも物忘れをしやすくなりますが、思い出せる程度なら加齢によるものでしょう。でも記憶が抜け落ちてしまっていたら、認知症によるものと考えられます。最初のうちは区別がつきにくいのですが次第に違いがはっきりしてきます。

加齢と認知症による忘れの違い

加齢によるもの忘れ 認知症による物忘れ
出来事について 体験の一部を忘れる 体験したこと全体を忘れる
約束をうっかり忘れる 約束したこと自体を忘れる
その日の出来事を振り返られる 少し前の出来事も忘れる
思い出について 後で思い出したり、きっかけがあれば思い出せる 記憶に残っていないので思い出せない
目の前の人の名前を思い出せない 目の前の人が誰なのかわからい
物忘れの自覚について 自覚している 自覚が乏しい
探し物を見つけようとする 誰かに盗まれたなどと他人のせいにする

出典:ソーテック社「親の介護がすべてわかる本」

認知症はどんな病気?

認知症は特定のたんぱく質が脳などに蓄積して認知症を引き起こすアルツハイマー型認知症レビー小体型認知症、脳の一部が限定的に委縮して起こる前頭側頭型認知症、脳梗塞や層の血流低下が原因で起こる血管性型認知症などがあります。このうちアルツハイマー型認知症と血管性認知症が全体の大半を占めています。
認知症の原因となる病気

※出典:厚生労働省「都市部における人市長有症率と認知症の生活機能への障害への対応」

アルツハイマー型認知症

認知症の原因として最も多いとされているのが、アミロイドβやリン酸化タウというタンパク質が長い年月をかけて脳に蓄積し、認知症を引き起こすと考えられています。多くの場合、記憶障害(物忘れ)から始まりますが、失語(音は聞こえても意味が理解しにくい、物の名前がわからないなど)、失認(視力に問題はないが、見えたものを形として認識しにくい)、失行(手足は正常に動くのに、以前できていた動作ができない)などの症状が顕著になることもあります。

レビー小体型認知症

脳にαシヌクレインというタンパク質が蓄積することが原因で、認知症を引き起こすと考えられています。特徴的なのは、記憶障害などの認知機能障害が変動しやすいことに加え、はっきりとした幻視(存在しないものが見える)や、転びやすさや歩行困難などのパーキンソン症状、睡眠中に夢を見て叫ぶなどの症状が見られることです。どの症状が先に現れるかは個人によって異なります。

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉と側頭葉が病気の中心として進行していき、同じ行動パターンを繰り返したり、周囲の刺激に反応してしまうなどの行動の変化が目立つ「行動障害型」と言葉の障害が目立つ「言語障害型」があります。

血管性認知症

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって、一部の神経細胞に栄養や酸素が届かなくなり、認知症を引き起こすことがあります。脳血管障害が発生した場所によって症状は異なりますが、麻痺などの身体的な症状が現れることも少なくありません。

認知症の相談は誰にするの?

「もしかしたら認知症かもしれない」と違和感を感じたら、まずはかかりつけ医に相談しましょう。最近では、多くの開業医が認知症診断の知識と技術を習得する研修を受けているため、診療所を問わず、定期的な通院時に相談することができます。専門的な診断が必要と判断された場合は、かかりつけ医が認知症専門医や認知症疾患医療センターに紹介してくれます。かかりつけ医がいない場合は、地域包括センターに相談するします。状況に応じて地域の認知症初期集中支援チームにつなげてくれます。

認知症の相談は誰にするの

医療機関の「もの忘れ外来」 公益社団法人 認知症の人と家族の会「全国もの忘れ外来一覧」
認知症に関する相談窓口 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
認知症の電話相談(公益社団法人 認知症の人と家族の会) 電話番号 0120-294-456
受付時間:午前10時から午後3時
(月曜日から金曜日 ※祝日除く)
※携帯電話・スマートフォンの場合は050-5358-6578(通話料有料)

認知症は早期に診察を受けることで、本人は早期治療に繋がり、家族は適切な対応についてのアドバイスを受けることができます。また、介護サービスの利用や介護施設への入居の際に、症状が明記された診断書があれば、適切な認知症ケアを受けることができます。

在宅での認知症ケア

家族が本人の症状を正しく理解し、尊厳を保ちながら安心できる生活環境を整えることができれば、認知症になったからといって自宅で一人暮らしができないわけではありません。認知症の症状は、脳のダメージが原因で発生する記憶障害などの認知症状(中核症状)と、本人の性格や生活環境、介護の状況などの個別要因が影響して現れるBPSD(行動・心理症状)に分かれます。BPSDは生活環境を整えて、適切なケアと行うとよくなるといわれています。

在宅での認知症ケア

出典:厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解

中核症状

もの忘れ(記憶障害) 数分前~数時間前のことを忘れる、同じことを何度も聞く・言う、いつも探し物をしている
理解力・判断力の低下 手続きや預金の出し入れができない、状況や説明が理解できない、テレビ番組の内容が理解できない
感情表現の変化(社会脳障害) 状況が認識できなくなって周囲の人と摩擦を起こす、すぐ怒る
時間や場所がわからなくなる(見当職障害) 日付や曜日がわからない、慣れた道で迷う、出来事の前後関係がわからなくなる
仕事・家事・趣味や身の回りのことができなくなる(実行機能障害) 段取りが悪くなる、時間がかかるようになる、調理の味付けを間違える、身だしなみをかまわなくなる、食べこぼしが増える

BPSD(行動・心理症状)

1人になると怖がる・寂しがる 憂鬱でふさぎ込む、趣味に興味を示さなくなる
怒りっぽくなる、イライラする、些細な事で腹を立てる 幻視を訴える
自分の物を誰かに取られたと疑う 外出の目的を忘れる、帰れなくなる

在宅介護における基本的ケアのポイント

健康管理 認知症を患うと、自分で健康管理をしたり、身体の不調を感じても周囲に伝えることが難しくなります。したがって、認知症の方の在宅介護においては、介護者が健康管理を行うことで、体調不良や疾患の早期発見、重症化の予防などの効果が期待できます。

・気候や湿度に適した服装や空調を心掛ける
・栄養バランスの取れた食事を、食べやすい量に分けて提供する
・規則正しい生活を維持する
・無理のない範囲で適度な運動を促す
・病院で処方された薬は、指示通りに服用する

信頼関係を築く 在宅介護を円滑に進めるためには、認知症の方に「この人なら安心して頼れる」と感じてもらえるような信頼関係を築くことが重要です。信頼関係を築く際のポイントは、以下のとおりです。

・目を見て、ゆっくりと優しく話しかける
・相手のペースに合わせて行動する
・悩みや困惑に寄り添う
・考えていることを理解しようと努める

社会とのつながりを保つ 認知症の方が社会や家族以外の人と接することは、脳の活性化、ストレスの軽減、活動量の増加による生活習慣病のリスク低減などに繋がります。そのため、認知症の方の在宅介護では、散歩に出かける、デイサービスを利用する、地域活動に参加するなど、社会とのつながりを持つことが重要です。
自尊心を傷つけない 介護者は、認知症の方がトイレの失敗をしたり、同じ質問を繰り返したり、暴力や暴言を行う場合に、どう対応すれば良いのか分からず、気持ちの整理がつかないために叱ったり怒ったりしてしまうことがあります。認知症の方と接するときは、命令口調や否定的な言葉で驚かせないようにし、その人ができることを見つけて褒めるなどして、自尊心を傷つけないよう心がけることが重要です。
なるべく環境を変化させない 認知症の方は環境の変化に敏感であり、その変化が不安やストレスを引き起こし、暴力や暴言、睡眠障害、妄想や徘徊などのBPSD(行動・心理症状)を悪化させることがあります。環境をできるだけ変えずに済むようにするためには、部屋の模様替えを避け、入院や引っ越しの際には、本人が安心できる愛用の小物や家族写真などを周りに置くといった配慮が必要です。

注目を集めているユマニチュード

ユマニチュードは「人間らしさを取り戻す」という意味のフランス語で、フランスで発祥した認知症ケアの技法です。本人に安心感を与えるケア技術を取り入れた介助動作を家族に身に付けるのもよいでしょう。
ユマニチュード
※出典:LIFULL介護

見る 認知症の方は視界の中心以外が見えにくくなっているため、介護者は常に目線を合わせ、しっかりとアイコンタクトをとることが重要です。正面から徐々に近づいて視線を外さずに話しかけるようにしましょう。
話す
たとえ会話が難しい状態であっても、介助する際にはいきなり体に触れず、ケアの間ずっと、これから行うことやその効果を穏やかな声と言葉で説明しながら話しかけることが大切です。
触れる 肩など感覚が敏感でない部分には、手で優しく触れて安心感を与えましょう。立ち上がらせる際には、腕をつかむのではなく、下から腕を支えるようにします。
立つ 人は立つことで尊厳を感じるため、身体機能の改善を図るためにも、できるだけ立ってもらうようにしましょう。その際、引っ張り上げるのではなく、体を前傾させて本人の立つ力を引き出すことが大切です。

介護施設での認知症ケア

様々な事情で在宅での認知症ケアが困難な時は、認知症に対応する介護施設の入居という選択肢もあります。ただ認知症の場合でも感情やその人らしさはしっかりありますので、本人を無視して手続きを進めることは避けましょう。
介護施設での認知症ケア

認知症高齢者が入居できる施設

施設の種類 入居要件など 退去要件や注意点
グループホーム
(認知症対応型共同生活介護)
  • 要支援2以上
  • 認知症(軽度~中度)の診断を受けた人のみ
認知症(軽度から中度)の診断を受けた人が対象です。看取りまで対応するホームもありますが、重度の状態になったり医療行為が必要になったりすると、退去を求められる場合もあります。
特別養護老人ホーム
  • 認知症のよっては要介護2も対象になる
  • 認知症の場合はユニット型が一般的
医療処置が必要になると退去を求められることもあります。
老人認知症疾患療養病棟
  • 要介護1以上
  • 重度の認知症がある
  • 医療・介護の必要が高い
療養病棟の数は少なく、2024年に廃止予定のため、新設は行われません。介護医療院に移行できるかどうかはまだ未定です。
介護付き有料老人ホーム
  • 要介護度は条件としないホームもある。
問題行動が著しい場合や介護度が上がると、退去を求められることもあります(重要事項説明書の退去事由を要確認)
サービス付き高齢者向け住宅 ホームによって認知症対応には幅がある 症状が進行した場合、退去となることが多いです。
認知型ケアハウス
  • 要介護1以上
需要があるにもかかわらず供給が少ないため、入居待ちの人が多いです。

出典:ソーテック社「親の介護がすべてわかる本」

「親の介護」の備えで把握しておくこと

親の介護への備えについて厚生労働省の資料で「親が元気なうちから把握しておくべきこと~突然、介護に直面しても困らないために~」というものがあります。非常に役に立つ内容ですので要点をまとめてみました。

介護について話し合うタイミング

介護は誰もが直面する可能性があり、「介護への事前の準備」は非常に重要です。しかし、親が元気なうちは、「親に介護が必要になったらどうするか」といった話題は親子間で話しづらいことが多いです。そこで、まずは介護保険証を受け取る親が65歳になったとき、あるいはあなたが介護保険料を納め始める40歳になったときなどに、介護について話し合ってみるのはいかがでしょうか。

親の老後の生き方の希望は?

親が「老後の生き方」や「介護が必要になった場合の暮らし方」についてどんな考えを持っているかは、介護者にとって非常に重要な情報です。親自身が具体的な希望を持っていないこともありますが、その場合は親子で話し合う機会を設けると良いでしょう。

  • 介護が必要になった場合、誰とどのように暮らしたいか
  • 子どもに介護してもらうことへの抵抗感の有無
  • 在宅介護サービスを利用するか
  • 介護施設に入居するか
  • 最期はどこで暮らしたいと思っているか
  • 延命治療を希望しているか

親の生活環境や経済状況は?

親の生活環境や経済状況を把握しておくことは、いざ介護に直面した際、自分自身がどのように親を支援していくか、親がどのような介護サービスを受けるかを判断するのに役立ちます。

  • 親の1日、1週間の生活パターン
  • 高齢になって、生活上困っていることや不便に感じている場所
  • 親の経済状況(どれくらいの生活費で生活しているか、生活費を何でまかなっているかなど)
  • 親の財産(預貯金、株式、保険、借入、年金など)
  • 大切な書類(健康保険証、介護保険証、病院の診察カード、年金手帳、生命保険証書、預金通帳、印鑑類など)の保管場所

親の趣味・嗜好は?

親に介護が必要になったとき、親の趣味や嗜好についての情報があると、寄り添ってサポートする人にとっては大いに参考になります。ヘルパーなど、家族以外の人の協力も得やすくなります。

  • 親の趣味や楽しみ
  • 親の好きな食べ物

親の周囲の環境・地域とのつながりは?

親と離れて住んでいる場合、地域の人々の見守りや気づきが大きな助けになることも少なくありません。できるだけ、親の「地域とのつながり」も把握しておきましょう。

  • 近所の友人や地域の活動仲間の名前・連絡先
  • 地域の民生委員や配達員など、家族や友人以外で親の安否を確認できる人の有無・連絡先

現在の親の行動面・健康面の状況は?

現在の親の行動面・健康面の状況はどうですか。耳の聞こえ方や物忘れの傾向、服用している薬やかかりつけ医などを確認しましょう。

  • 食事のとり方
  • 耳の聞こえ方
  • トイレ・排泄
  • 動く様子(歩き方、歩く速さ、つまずく、転ぶなど)
  • 物忘れの傾向(同じものを買い込んでいないかなど)・頻度
  • 親の既往歴や血圧など
  • 親の服用している薬(市販薬を含む)やサプリメント
  • 親のかかりつけ医
  • 親の不安・悩み

まとめ

親の介護について考え始めたら、早めに準備を進めることが大切です。まず、親の健康状態や生活環境を把握し、将来の介護に対する希望や意向を確認しましょう。親がどのような介護サービスを望んでいるのか、どんな生活を送りたいのかを話し合うことで、介護準備が大きく変わります。

介護は一人で抱え込まず、家族や専門家のサポートを得ることが重要です。ケアマネージャーや介護相談窓口を利用し、専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な介護が可能になります。家族全員で協力し、役割分担を決めておくことも、負担を軽減し、親にとっても安心できる環境を作るために役立ちます。

このまとめが、皆さんの介護準備に少しでもお役に立ち、安心して介護に取り組む手助けとなれば幸いです。親との大切な時間を充実したものにするために、準備を進めておきましょう。家族全員が安心して過ごせるよう願っています。

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