親が亡くなった際の「忘れてはいけない!?相続スケジュール」

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相続は突然にやってきます。葬儀の準備をすすめながら慌ただしい中、各種の申請や申告を手続きの期限に注意しながら行わなくてなりません。今回は「いざ」と言うときに慌てなくていいように順を追ってまとめてみました。

最初の1週間でやること

死亡届を提出する

死亡届出典:法務省「死亡届記載例
家族を亡くした悲しみの中で、通夜、告別式、初七日法要など、最初の1週間でやることはとても多いです。その中でとても重要なのが死亡届です。死亡届は人が死亡した事を証明する書類で、死亡の事をしった時から7日以内に死亡者の死亡地か本籍地、または届出人の所在地の役所に提出する必要があります。
死亡届の届出人になれるのは、親族、同居人、家主、地主、家屋管理人、土地管理人、後見人などの関係がある人です。

埋葬までの流れ

死亡届・死亡診断書・死体火葬許可申請書を役所に提出する。まず死亡を確認し医師から死亡診断書を受け取り、市区町村の役所に死亡届と一緒に提出する死亡届を提出際に必ず火葬許可申請書も忘れず提出し、火葬許可書を受け取りましょう。

死亡届・死亡診断書・死体火葬許可申請書
必ず死亡してから7日以内に提出

提出

死亡届・死亡診断書・死体火葬許可申請書交付

死体火葬許可証
交付を受けないと火葬不可

火葬後

火葬執行証明済の火葬許可証
寺院・墓地に提出
※葬儀社を手配した場合、代行してもらえる事が多い

 

10日以内にやるべきこと

年金受給権者死亡届の提出

被相続人が国民年金、厚生年金を受給していた場合は、年金事務所に「年金受給権者死亡届」を提出。厚生年金は死亡から10日以内に、国民年金は14日以内に手続きが必要です。提出先は年金事務所・最寄りの年金相談センターになります。

必要な届出 添付書類
死亡の届出
  • 亡くなった方の年金証書
  • 死亡の事実を明らかにできる書類(下記のいずれかの書類)
    • 住民票除票
    • 戸籍抄本
    • 市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書

葬儀後なるべく早くやるべきこと

各種解約・名義変更

被相続人が国民健康保険の加入者だった場合、死亡一時金や葬祭費を受給できる(国民健康保険法58条)場合があるので確認しましょう。具体的な金額は、条例に定められており、数万円の葬祭費を受け取ることができます。申請書は市役所に用意されています。

遺言書を確認

四十九日ごろに行われる事が多い、遺品整理や形見分けですが、早めに遺言書の有無を確認しておきましょう。

相続人の確認

相続人が誰なのか確認するために、被相続の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せ確認しましょう。

財産目録をつくる

遺産分割協議や相続税の申告に必要となる、被相続人の相続財産をすべて一覧にした財産目録を作成する。

14日以内にやるべきこと

国民健康保険証、介護保険証の返却

被相続人の国民健康保険資格喪失届や介護保険の資格喪失届を提出するほか、世帯主変更届、公共料金の変更や携帯電話の解約が必要となります。国民健康保険加入者の葬祭費など、遺族に対して金銭が支給される制度があるので請求しましょう。

3か月以内にやるべきこと

相続「する」「しない」を決める

もしプラスにの財産よりもマイナスの財産が多い場合、相続放棄と限定商品という方法があります。この相続放棄と限定承認は、相続を知ってから3か月以内に家庭裁判所で手続きしなければなりません。期限を過ぎてしまうと無条件に相続する事になるので気をつけましょう。

相続放棄と限定承認

遺産分割協議書を作成

遺産分割協議書出典:三井住友銀行「遺産分割協議」

遺産分割の話し合いの結果を遺産分割書面にまとめます。書類は遺産を取得しない人も含め相続人の人数分を作成し、署名・実印を押します。この書式は決まっていませんが、誰が何を、どれだけ相続したかを明確に記載すれば問題ありません。後のトラブル防止にも、遺産分割協議書を作成する事はとても大事です。また実際に銀行口座の解約、不動産の名義変更の登記をしたりするときにも必要となってきます。

未成年がいる場合は?
未成年者も相続人になれますが、遺産分割協議をするには、代理人の参加も必要です。通常は親(親権者)が代理人となります。ただし親と未成年者が両方とも相続人になる場合は、親が自分の都合のよい遺産分割をまとめてしまわないように、特別代理人の選任が必要となります。特別代理人は家庭裁判所で選任してもらう必要があります

4か月以内にやるべきこと

純確定申告をする

純確定申告
相続があった事を知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければならい「純確定申告書。純確定申告は通常の確定申告に準ずる形で相続人の1月1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額を計算します。

準確定申告が必要な人

  • 事業所得や不動産所得がある人
  • 2,000万円を超える給与所得がある人
  • 複数からの給与所得がある人
  • 給与・退職所得・公的年金による雑所得以外の所得が20万円を超える人
  • 公的年金等による収入が400万円を超える人
  • 生命保険の満期金や一時金を受け取った人
  • 土地や建物を売却した人
  • 株式などを売却して源泉徴収されていない人 など
年金収入のみの方は、年金400万円以下であれば確定申告は不用ですが、確定申告を行う事で源泉徴収された所得税が還付される場合もあります。

10か月以内にやるべきこと

相続税の申告と納税をする

相続税の申告と納税
相続税の申告と納税は、被相続人が死亡した事を知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。相続税の計算は一般には難しく、適用される特例も多岐にわたり専門的な知識が必要になります。自分で計算するのが難しい場合は、税理士の助けを借りることが賢明です。もし地元に税理士事務所がない場合は、地域の税理士会に連絡し、紹介してもらうと良いでしょう。

相続税の申告書の添付書類

  • 戸籍謄本
  • 遺産分割協議書の写し
  • 相続人の中に未成年者がいる場合には、家庭裁判所に特別代理人の選任をしてもらい、この特別代理人の実印を押します。
  • 各相続人の印鑑証明書
  • 預貯金・借入金などの残高証明書
  • 生命保険金・退職手当金などの支払証明書
  • 不動産の登記簿謄抄本(登記事項証明書)・地形図
  • 固定資産税評価証明書
相続税の申告書には、通常次のような添付書類が必要になります。それぞれの書類を取り寄せるのに時間もかかりますから、早めに確認しましょう。

遺産分割が終わっていなくても期限までに行う必要がある

申告・納税は各相続人がそれぞれ行い売ます。もし遺産分割が終わっていないのに申告・納付期限が迫ってきたときは、とりあえず期限内に法定相続分で計算した税額を申告・納税する事をおすすめ致します。期限後も、実際に分割が終わってから不足分を収めたり、支払いすぎた分を取り戻したりすることができるようにするためです。
また納付期限までに、現金で納付する事ができない場合は、「延納手続き」を行う事で、年賦の方法(年払い)で納付することができます。ただし、延納できるのは全額でなく、「納付が困難であると金額を上限とする」とされています。

延納の要件
  1. 相続税額が10万円を超えること。
  2. 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
  3. 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
  4. 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。

「やるべきこと」まとめ

時期

手続き

死亡してすぐ 死亡診断書・死体検案書の発行
近親者などに対する訃報の連絡
葬儀社の選定・依頼、通夜・葬儀
死亡してから5日以内 健康保険証の返却(健康保険)
死亡してから7日以内 死亡届の提出、死体火葬許可証の受け取り
死亡してから10日以内 受給権者死亡届の提出(厚生年金)
死亡してから14日以内 世帯主の変更
国民健康保険被保険者証の返却等
後期高齢者医療被保険者資格喪失届の提出
介護保険被保険者証の返却
受給権者死亡届の提出(国民年金)
死亡してから1ヵ月以内 雇用保険受給資格者証の返却
死亡してから49日以内(一般的) 四十九日法要、納骨
死亡したことを知った日から3ヵ月以内 限定承認・相続放棄の申述
死亡したことを知った日の翌日から4ヵ月以内 所得税の準確定申告・納付
死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月 相続税の申告・納付
死亡したことを知った日から1年以内 遺留分侵害額請求
死亡してから2年以内 国民年金の死亡一時金・寡婦年金の請求
葬祭費・埋葬費(料)の請求
高額療養費の還付請求
死亡してから3年以内 生命保険金(死亡保険金)の請求
不動産の相続登記
死亡してから5年以内 遺族年金・未支給年金の請求

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